紅茶のグレード  Grades of Tea

紅茶のグレード Grades of Tea

紅茶の等級(グレード)分類は、茶葉の大きさや品質、形状、製造方法により細かく分類されていますが、世界標準の等級基準はなく、各生産国によって異なっています。紅茶において最も基本的なグレードは、OP(オー・ピー)もしくはOrange Pekoe (オレンジ・ペコー)と呼ばれています。
ペコー (Pekoe)という言葉は、中国語で白い産毛を意味する白亳(pak-Ho)に由来しています。一方、オレンジ・ペコーの オレンジ (Orange)という言葉の由来については、19世紀にインドとセイロンで紅茶の生産が盛んになった時期に中国から移植した白毫種の新芽が、酸化発酵して産毛がオレンジ色になったことから、オレンジ・ペコーと名付けられたという説の他、中国人が昔、茶葉への香り付けにオレンジの花を使用したことから来ているという説や、茶貿易で権勢をふるったオランダ人の商館がオレンジ色だったことから来ているという説があります。いずれにしても、今日、オレンジ・ペコーとは、摘み取られた若い茶葉を指します。
茶葉の大きさによって、必ずしも品質に差があるわけではありませんが、蒸らし時間が違ってくるため、おいしく飲むためにはサイズが揃っている方がムラなく抽出できます。

 

 

紅茶のグレードは大きく分けて次の5つのカテゴリーに分類されます。
① ホールリーフ(茶葉そのままの大きさ)- 基本グレード: OP(オレンジペコー)7~11mm
② ブロークン(細かくカットしたもの)- 基本グレード: BOP(ブロークン・オレンジ・ペコー) 2~3mm
③ ファニングス(ブロークンより細かくカットしたもの)- 基本グレード: BOPF(ブロークン・オレンジ・ペコー・ファニングス) 1~2mm
④ ダスト(ファニングスよりもさらに細かい粉状のもの)- 基本グレード: D(ダスト)1mm前後
⑤ CTC(Crush Tear Curl:押しつぶす・引き裂く・丸める。 CTC製法により作られたもの)

これらのグレードは、生産国によって異なりますが、一般的に以下のように細分されています。

Whole Leaf

ホールリーフ

FOP 茶樹の茎の最先端の最も若い新芽の部分。 OPのうち、Tip(ティップ=新芽/芯芽)が一定量含まれている上質な若葉を指す。 ティップが多いほど上質とされ、ティップの多さに応じてさらに細かく等級分類されている。 品質の良さを表す一つの目安。 フラワリーとは、花のような香りを意味し、上質な茶葉の形容に用いられる。
フラワリー・オレンジ・ペコー
GFOP FOPの中で、黄金色をした上質な新芽、Golden Tips(ゴールデンティップス)が含まれているFOPの上級グレード。
ゴールデン・フラワリー・オレンジ・ペコー
TGFOP FOPの中で、黄金色をした上質の新芽、Golden Tips(ゴールデンティップス)が多く含まれているFOPの上級グレード。
ティッピー・ゴールデン・フラワリー・オレンジ・ペコー
STGFOP TGFOPの中で、銀白色をした上質の新芽、Silver Tips(シルバーティップス)が多く含まれているFOPの上級グレード。
シルバー・ティッピー・ゴールデン・フラワリー・オレンジ・ペコー
FTGFOP 非常に優れた品質のFOP。 TGFOPよりさらにTipsを多く含んだ、最上級のグレード。 この等級は、北インド、主にダージリンの上質な茶葉に用いられている。
ファイネスト・ティッピー・ゴールデン・フラワリー・オレンジ・ペコー 
OP 先端から2枚目の葉。 FOPの次に若い茶葉。 FOPより大きく、長さが7~12mmの細長い茶葉を、ねじって仕上げられている。 ティップはほとんど含まれていない。
オレンジ・ペコー
P 先端から3枚目の葉。 OPの下の部位にある葉。 OPより短い。 ティップは含まれていない。
ペコー
PS 先端から4枚目の葉。 Pの下の部位にある葉。  短く太い。
ペコー・スーチョン
S 先端から5枚目の葉。 PSの下の部位にある大きな葉。 細長くねじられている。 しばしば中国の燻製茶(ラプサンスーチョンなど)に使用される。
スーチョン

Broken Leaf

ブロークンリーフ

FBOP FOPのリーフを細かくカットしたもの。 ティップの多さに応じてさらに細かく等級分類されている。 
フラワリー・ブロークン・オレンジ・ペコー
TGFBOP TGFOPのリーフを細かくカットしたもの。 黄金色の新芽、Golden Tips(ゴールデンティップス)が多く含まれている。 GFBOPの上級グレード
フラワリー・ブロークン・オレンジ・ペコー
GFBOP GFOPのリーフを細かくカットしたもの。 黄金色の新芽、Golden Tips(ゴールデンティップス)が含まれている。 GBOPの上級グレード。
ゴールデン・フラワリー・ブロークン・オレンジ・ペコー
GBOP GFOPのリーフを細かくカットしたもの。 黄金色の新芽、Golden Tips(ゴールデンティップス)が含まれている。
ゴールデン・ブロークン・オレンジ・ペコー
BOP OPのリーフを細かくカットしてふるいにかけ、2~3mmの長さに仕上げられた茶葉。 ホールリーフより短時間で抽出することができる。
ブロークン・オレンジ・ペコー
BP Pリーフをカットしたもの。BOPに比べるとやや大きめだが、同様に抽出時間は短い。
ブロークン・ペコー
BPS PSリーフを細かくカットしたもの。BPよりもやや大きめ。
ブロークン・ペコー・スーチョン

Fannings

ファニングス

BOPF BOPより小さいサイズのものを細かくカットして作られたもので、より早く抽出が出来、水色が濃く、風味が強い。1~2mmの茶葉。
ブロークン・オレンジ・ペコー・ファニングス

Dust

ダスト

D ファニングスよりもさらに細かい粉状のもので、最小のグレード。抽出時間が早いため、主にティーバッグに用いられている。
ダスト
CTC CTC リーフティーをcrush(押し潰す)、tear(引き裂く)curl(粒状に丸める)するCTC製法で、顆粒状に作られた形状の茶葉。アッサムやケニア、ティーバッグに多く用いられている。
シー・ティー・シー

 

 

※ グレードに付帯する形容詞について
紅茶園や紅茶会社では、特に優れた品質のものについて、
上記グレードに末尾に”1”をつけたり、独自に特徴を表す形容詞をつけることがあります。

(例) 

1) FTGFOP1 
 - Finest Tippy Golden Flowery Orange Pekoe "1“
   (FTGFOPのトップクオリティー)

2) FTGFOP1 MUSCATEL 
 - Finest Tippy Golden Flowery Orange Pekoe 1 ”Muscatel” 
   (FTGFOP1のマスカテルフレーバーを持つ最高級品)

3) FTGFOP1 CL TIPPY 
 - Finest Tippy Golden Flowery Orange Pekoe 1 ”Tippy Clonal” 
   (FTGFOP1のクローナル種でティップを特に多く含む最高級品。ティッピー クローナル。)

※ Tip(ティップ)について
茶樹の枝の最先端にある、芽生えたばかりでまだ葉が開いていない状態の新芽のことを”Tip”(ティップ)と言いますが、このティップの量が多いほど高級品とされています。
特に、Golden Tips ゴールデンティップス(ティップ表面の産毛が発酵時に紅茶液に染まり黄金色となった新芽)や Silver Tips シルバーティップス(銀白色の新芽)を多く含んだ美しい紅茶は最高級として珍重され、高値で取引されています。

 

<主な省略記号の本来的意味合い>

Special: 特別に
Fine:   精巧に仕上げられた
Tippy:  充分に捩られて先の尖った/Tip(新芽)を多く含む
Golden: 金色(橙黄色)の産毛をもった
Flowery: 花の香りのする、花のような
Orange: カップ水色がオレンジ色の
Pekoe:  産毛をもった茶葉
Broken:  切断(切揉)した
Fannings: 捩れのない葉の断片(軽い)
Dust:    切断されて最も小さな葉の断片
Clonal:   改良品種
Flavoury: 香気の高い
Flavoured: 人工的に着香された