紅茶の品種

Tea Varieties

「チャ」茶の樹は、ツバキ科ツバキ属の多年性の常緑樹で、学名を「カメリア・シネンシス 」(Camellia Sinensis (L) O.Kuntze)といいます。

「茶」は、この茶の樹の生葉(主に新芽と若葉)を摘んで加工したもので 紅茶も緑茶も烏龍茶も、元は全て同じお茶の樹から作られています。 

大きな違いはその加工方法(主に発酵プロセスの違い)で、加工方法の違いにより種類や特徴が異なる「茶」が生産されています。

産地の環境、気候、風土、標高により、紅茶・緑茶・烏龍茶など、それぞれの「茶」の種類の栽培と加工に適した品種と栽培・製造方法があります。

茶葉にはポリフェノールが豊富に含まれていますが、日本や中国などで多く飲まれている緑茶は、茶葉を収穫してすぐに加熱処理して茶葉中の酵素を失活させて製造するため、その成分は新鮮な茶葉とほとんど変わりません。一方、世界の茶生産の 8 割を占める紅茶は、その発酵工程でカテキン類を含むポリフェノールが酵素により酸化発酵して複雑な組成の混合物となり、茶葉の色と香味が変化して芳醇な味わいを生み出しています。

 

 【茶樹の品種】

1)小葉種 ~ 中国種

小葉種は潅木性(放置しても樹木にならないもの)で、葉は小さくアミノ酸含有量が多く、主に緑茶向き品種といわれています。


耐寒性に優れ、厳しい気候条件に耐えうるため高地における紅茶用品種としても使用されます。

しかしながら収量が少なく、しばしば高級茶となることがあります。

主な生育地域は中国、日本、インドのダージリン、スリランカ、ロシア、トルコなどです。

紅茶 中国種

 

2)大葉種 ~ アッサム種

大葉種は喬木性(放置すると樹木になるもの)で、葉は大きいが葉脈が軟質でタンニン含有量が多く、紅茶や烏龍茶向き品種といわれています。

耐寒性がなく、温暖な気候地域に生育します。

葉が大きいため収量が多いのが効率的です。

主な生育地域はインドのアッサム、雲南省、スリランカ、アフリカ、
インドのダージリンの低地などです。

紅茶 アッサム種

 

 

【紅茶の品種】

1)中国種  (China Variety)    Cameria sinensis var. sinensis

中国西南部が起源とされる茶の系統。 葉のサイズが小さい灌木タイプ。 
カテキン含有量が少なく、酵素の活性も弱く酸化発酵がしにくいことから、一般に緑茶向きとされており、中国、日本などの緑茶生産国で栽培されています。 
19世紀にアッサム種が発見されるまでは、お茶を作るためには中国種しかなかったために、インドやジャワなどにも種子が持ち出されて栽培されました。
インドのダージリンやスリランカのハイグロウン(高地産)地域などでは、今でも古い中国種の茶樹が残っており、100年以上の樹齢を持つ茶樹もあります。
また、中国種は寒さに強いことから、イラン、グルジア、トルコなど冬の寒さが厳しいところで栽培されています。
中国種は、水色が薄く、香りが良く、渋みが比較的少ないことが特徴です。
ストレートに向いています。 

 

2)アッサム種 (Assam Variery)   Cameria sinensis var. assamica

1823年に英国人ブルースがインド・アッサムの奥地シブサガールで発見した茶の系統。 中国種と比べて葉のサイズが大きい喬木タイプ。
カテキン含有量が多く、酵素の活性が強く発酵しやすいことから、紅茶向きとされています。 
収穫量が多く、アッサム地域はもちろんのこと、スリランカのローグロウン(低地産)、インドネシア、ケニアなど紅茶の新興産地では、ほとんどアッサム種が
導入されています。
アッサム種は、赤く濃い水色、まろやかな香り、渋みとコクのある深い味わいが特徴です。 
ミルクティーにも向いています。

  
また、中国種とアッサム種を交配した雑種(ハイブリッド)は、China Hybrid(中国交配種), Assam Hybrid(アッサム交配種)と呼ばれています。
 

3)クローナル種 (Clonal Variery) 

クローナル種とは、品質を改良をし、良質な紅茶を増やすために優良品種から挿し木をして作られたもので、ダージリンでは、AV2などが優良なクローナル種として評価されています。 

●有名なクローナル種(China Hybrid): B157(Bannockburn 157)、 P312(Phoobsering 312)、 AV2(Ambari Vegetative 2)

●Tea Research Association による開発・承認により、28種類のクローナル種が登録されています。

クローナル種は、天候への耐性、病害虫への耐性、品質の改良、収穫量の増加、を目的に栽培されています。

一般的にクローナル種のダージリンは、花蜜のようなフラワリーな香りと甘味のあるボディーが特徴です。

 

ダージリンの多くの茶園では、品質および収量の改良を目指し、クローナル種への変換、オーガニックへの変換が進んでいます。